◆世事ひょうろん

590.古舘さんよ、酷い認識不足&おベンキョウ不足でっせ!

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 ( Photo by (c)Tomo.Yun) (http://www.yunphoto.net )

昨夜(8/26)、テレビ朝日系『報道ステーション』の終盤で「水産庁がクロマグロ漁獲に新たな制限を」なるニュースが。ワタシ、“ながら視聴”だったんだが、メインキャスターの古舘伊知郎さんが発したシメのコメントを耳にして、「オイオイオイ!アホかアンタ!」と思わず声を────。

古舘さんこうのたまったのだ。例の訳知り顔、しかも自信満々風(=すなわち「上から目線方式」)に、さらには、もったいぶって。

「2016年のワシントン条約会議でクロマグロは絶滅危惧種に指定されるかもしれません」
(※“そしたらもうバクバクと食えなくなりますよ!”という警句を言外に匂わせながら)

ブルブルとばかり震えがくるくらいに酷い認識不足&オベンキョ不足・・・。この短いコメントの中にそれを端的に証明する箇所が3ヶ所(も)アリ。皆さんはお分かりになりますか?ヒント。正しいのは「次のワシントン条約(締結国)会議が2016年に開かれる」というところだけ。

  答えは一週間後ぐらいに、気が向いたら・・・・なあんてね。ワハハハハ!

ほんじゃあワタシも訳知り顔にて“エッヘン!”とばかりにエラそうな態度で(=上から目線方式)その箇所をば指摘を────。

まずひとつは“重箱の隅ツツキ”風ながら、実は重要な点。「絶滅危惧種」に関しては、「指定」という用語は一切使いませんぜと。「選定」ないしは「掲載」。「指定」という用語は、「法的規制」を含有・前提とする用語であり、さような規制は絶滅危惧種選定の目的、ならびにその元になるレッドリストやレッドデータブックの作成・策定目的にはないからです。

続いてグッとばかりに重要度が増す点。
「(国際レベルでの)絶滅危惧種の選定はワシントン条約(締結国)会議の場で決めるんではなく、国際自然保護連合 (IUCN)と世界自然保護モニタリングセンター(WCMC)のご担当案件でっせ!」
(※「絶滅危惧種の選定」は、国際レベルと各国レベルの2タイプがあって、日本の場合は「環境省」が担当)

そもそも、ワシントン条約(CITES=サイテス)ってえのは「野生動植物の商取引を始めとした国際的な取引の規制条約」。その規制レベルは3段階。
それぞれに「付属書」なるリストがあって、最も厳しい「付属書Ⅰ(イチ)」にリストアップされると学術用以外は一切ダメ。生体はむろん(※魚類なら成魚・稚魚・卵を問わず)剥製や加工品はおろか、体毛一本、種一粒すらもダメ。学術用だって輸出入両国の厳正なる許可証が必要。
それに比べると他の2ランク(付属書Ⅱと付属書Ⅲ)は、相当に“甘い”が詳しくは割愛。面倒。
ついでながら、絶滅危惧種・準絶滅危惧種などレッドリストに記載されている種がすべてワシントン条約規制種になってるわけではありませんし、逆に規制種がレッドリスト不記載のケースもあります。

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なおワシントン条約について詳しく知りたければ、「TRAFFIC(トラフィック)」のサイトが最適。ワタシが知る限り、“地球上で最良”・・・かと。コチラをクリックのほど。

さて、もし2種いるクロマグロが両方とも付属書Ⅰにリストアップされたらどうなるか。スーパーあたりの店頭や多くの寿司店あたりでは滅多にお目にかかれなくなるか(※完全に消えるということはなし)、異様な高値になることは確実でしょう。今でも滅多に見かけませんし、結構、異様な高値設定ですがね。ワハハ!
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続いて3つめ。同じく重要な点。
「クロマグロのうちの一種は3年前にすでに絶滅危惧種に選定されておりまっせ!」

少し正確にいうと8種類(※7種ないしは9種という分類もアリ)いるマグロ種のうち、3種類が「絶滅危惧種」、2種類が「準絶滅危惧種」でして、3年前に国際自然保護連合がお決めになりました。
一言で「絶滅危惧種」といっても、その逼迫度から3段階のランクに分かれ、クロマグロの一種、大西洋クロマグロは上から2番目にランク。もう一種、日本人が最もありがたがる太平洋クロマグロ(通称:ホンマグロ)は現時点では対象外で。

なお、太平洋クロマグロと大西洋クロマグロは、以前は「同種」とみなされていましたが、現在は「別種」とする見解が優勢。我が国では単に「クロマグロ」というと“太平洋型”のことを指すのが普通ながら、“大西洋型”が絶滅危惧種に選定されている今日、無意味な混乱や誤解を避ける意味でも、呼称を明解に区別すべきでしょうや。

古舘さんはその混乱&誤解ケースの典型かと。少なくとも、「クロマグロには2種類いる」ということをご存知なかったことだけは確かでしょう。それにしても、ちとムチャクチャな認識レベルであることも確かで。

以上を踏まえて、古舘さん、こうのたまえば『まあ正解』デシタ(※『大正解』はこの記事の終わりのほうで紹介)

「2016年のワシントン条約会議で、国際自然保護連合から既に絶滅危惧種に選定されている大西洋クロマグロ種は規制対象になるかもしれません」(※とはいえ、こう表現すると、くだんのニュース内容とは完全にズレちまいますがね。なぜならニュースで扱ったクロマグロとは太平洋クロマグロのことだからです)

さらには、「4年前の会議の際にも、大西洋クロマグロが最も厳しい規制ランクの対象種にとの提案があり、結局は否決されましたが、次回ははたして・・・・・」とでも言い添えれば、古舘さんの“株”も少しはあがったことで。

ちなみにその4年前、「付属書Ⅰ」へのリストアップを提案したのはモナコ公国────の大公サマ。かのグレース・ケリーさんの御子息デ~ス。自国産業が漁業と無縁という点、大公サマ自身がマグロ保護活動に熱心な某国際的自然保護団体と懇意になすっているあたりが背景にあるそうで。
一方、強硬に反対したのは、大西洋クロマグロの約8割(!)も輸入している我が大日本帝国(※とはいえ全マグロ種消費量の1割にも満たないんですから、いかに我が民族がマグロ好きかよう分かります)を筆頭に、蓄養鮪産業が盛んにして輸出国でもあるリビアやチュニジア、アルジェリアなどのアフリカ諸国など(※同じ立場のフランスやスペインなどのEU諸国はカタチだけは賛成。したたかですよ、“白色人種諸国”はさすがに)

透けて見える・・・どころか鮮明に分かるのは、「利害」が完全に優先されているという点で。このケースだけじゃあなく、ワシントン条約会議ってえのは、ほとんどの場面で、各国の利害同士の綱引き合戦が。「種の保全」なる高邁なる理念なんざあ、どっかにいっちまってま~す!ワハハのハ!
 
  種の保全 より大切な 収入保全 (by増尾座礁)

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ついでながら、もし可決されたら日本を始めアフリカ諸国等は素直に従ったかというと、間違いなくそうはしません。「留保」ってえ極めて“便利な抜け道”があるからです。コレを使えば取引量こそ減るでしょうが、ゼロってえことにはなりません。先に(※完全に消えるということはなし)と記した理由のひとつにして、ワシントン条約が“ザル法”(※「法律」じゃあありませんが便宜上)と揶揄される理由のひとつでもあります。

日本はクジラ(ちゃん)で、すでにこの留保なる“権利”を行使。付属書Ⅰにはっきりと記載されているミンククジラ(ほか)を獲ってますわね。アホなバカ諸国、もとい。“ご立派なる”理念をお持ちの一部諸国やナントカ団体あたりからヒステリックな抗議や非難を浴びているのはご承知のとおり。ありゃあ、投与するクスリのないビョ~キですワ。ハハ。
ワタシは日本の方針に対して「断固支持!」と旗幟鮮明に。鯨刺し、大好きオトコですんで(ほかいくつかの合理的理由アリ)。コレ、我が利害。ワハハハハ!

まだまだ書き連ねたきこと多々あれど、いずれまた。
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ちなみに古舘さん、しばしばかような認識不足・おベンキョウ不足を露呈なさるようで。こうしたテーマに限らずです。この種のテーマ、6月に「ニホンウナギ」が絶滅危惧種に選定されて以来(※大西洋クロマグロと同じ「絶滅危惧1B類」なるランク)、社会的ネタに。次回ワシントン条約会議では規制対象になることが確実視されています(※古舘さんの冒頭コメント、このニホンウナギのケースも混同しちまった結果では?と推察)

もし付属書Ⅰに記載となったら、日本国、さすがに留保は行使しずらい事情が。大西洋クロマグロやミンククジラと違ってです。詳しくはいずれまた気が向けば。
そんな背景も踏まえれば、古舘さん、も少しお勉強なすったほうが・・・・と余計なお世話を焼く我がオリマ~~ス。おしま~い

●追記として

■「報道ステーション」のサイトに、くだんのニュース記事が掲載。下記のとおり。

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2014年8月26日 (火)

水産庁がクロマグロ漁獲の新制限

クロマグロの漁獲について、ワシントン条約で規制される恐れも指摘されるなか、水産庁は、国内で新たな漁獲制限を設けた。30キロ未満の「未成魚」ついて、年間漁獲量の上限を4007トンに設定。このうち沿岸漁業(2700トン)は全国6ブロックに分け上限が設けられた。上限の70%に達すると「注意報」、80%で「警報」、90%で「特別警報」を受け、95%で「操業自粛要請」が発令される。上限をオーバーしても、罰則などはない。漁業者からは、ブロック内で「早い者勝ち」になることを懸念する声が聞かれた。今回、細かく制限が設けられたのは「沿岸漁業」。それ以上に未成魚の乱獲が問題になっている「巻き網漁業」については、「全体で2000トン」という上限を設けるにとどまった。
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■この内容からして、明らかに「太平洋クロマグロ(=ホンマグロ)」の関連ニュース(※ごくごく稀に日本近海で大西洋クロマグロが捕獲されることはあれど)。だったら、「クロマグロ」というのではなく「太平洋クロマグロ」と言うべし!
そもそも、冒頭部の「クロマグロの漁獲について、ワシントン条約で規制される恐れも指摘されるなか」なる一節に、この記事を仕上げた側(=テレビ局スタッフ)の認識不足が端的に。

■ちなみに、大西洋クロマグロはともかく、その太平洋クロマグロが次のワシントン条約会議で議題にのぼる可能性(危険性)はゼロ。上の一節とともに冒頭の古舘コメントのトンチンカンさがより増すってえことに。

■古舘さん、くだんのニュースが終わった時点でヘタに訳知り顔してラッピング・コメントなど述べずに、「それじゃあ○○さん、お天気を────」と隣に座る女性アナに即振っちまうのが『大正解』だったでしょうや。ワハハ!

■最後に一言、イタチの最後っ屁風に。「清水さんや奥山さんを始め多くの釣り人の皆さん、「メジ」釣ったら、ちゃあんとリリースしないとダメでっせ!ワハハハハハ!」

■「メジ」ってえのは相模湾あたりほかで、ごくごくたま~に釣れる(釣れちまう)ホンマグロの幼魚(もちろん未成魚の範疇)の通称でゴザイマス。「幼魚」といっても、3~10kgもありますが。でっかいカツオの成魚級(以上)です。


■なおワタシ、古くから「WWFジャパン」&「トラフィック・ジャパン」の“支援者”をヤッテます。長年にわたって、ワシントン条約付属書に記載されるあまたの鳥類の羽根を使いまくり(※熱心なるフライフィッシング・ファンですからね)、クジラやマグロを食いまくってきた(※サバとカツオほどじゃあありませんが)不埒な輩のせめてもの“罪滅ぼし”として。

■よろしかったらコチラをクリックしていただき、できれば会員に(コチラをクリック)。
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この「パンダ」のシンボルマークがどうにも気に入らんのですがね。コイツ、実は生きてる孔雀をバリバリ食っちまう“獰猛至極”の生き物にして、“チュウゴク産”だからで。

■てなことはともかく今夜(も)、マグロを食おう~と決めた我がオリマス。ワハハのハッハ!

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by s_masuzawa | 2014-08-27 08:18 | ◆世事ひょうろん | Trackback

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