■記事内で庵さんは、『ハビタス・メンタリス』なる(ムツカシイ)概念を副次的に踏まえながら、今日のフライフィッシング・マーケットに論及。当方なりの分析論も加味した上で要約すれば、ファン層の無意識的な意識変化と(それすなわち「時代的気分=ハビタス・メンタリス」に裏打ちされたもの)、それによって顕在化する購買行動等の質的変容への対応が既存市場サイドはできていない──それゆえに、市場が沈滞化・縮小化するも必然となる。
■実際、全くできていないし、さような観点から『市場』を俯瞰するセンスすらもない。25年ほど、このギョーカイと片面的付き合いをヤッテきたゆえ断言できるね。そのひとつの典型例が、中身空っぽな“エキスパ〜ト”とやらへの依存、それも“昔の名前で出テイマス”的手合いへの依存主義。タチが悪いし、そりゃあ飽和化もするワイなでアル。もちろん、そのあたりにきちんと気付いている方々もいらっしゃる。そういう方々は、いかなるアクションを起こすのか。ひとつに、『フライの雑誌』に広告出稿。ハハハのハ!
■同誌の主たる読者層は“ムツカシイ面々”と言われ&思われているようで。実際にそう(かもしれない)。観点変えれば&好意的に見なせば、『通』なんだろうよ。少なくとも、名ばかりの“エキスパ〜ト”なんてえシロモノが、“似非(エセ)スパ〜ト”であることぐらいはシッカリ見抜くだけの眼力はお持ちのようで。鮨屋へ行って、しょっぱなから「トロ!イクラ!ウニ!」などとは間違っても連呼しない『寿司通』と相通じるものが。ちょっと斜に構えて、「アオヤギ」とつぶやくようにオーダー。ひとつ間違えりゃあ、嫌味な客だが、それなりにハマりさえすりゃあ、小粋でアル。
■フライ市場でショーバイなさる皆サン、「トロ!イクラ!ウニ!」型顧客をメイン・ターゲットになさりたいご様子がフンプン。楽だもんねえ〜。しかしである。そんな“楽”な客だって、学習能力はギョーカイ屋の1万倍は優れているから、すぐに飽和化。ちょっと気取って(&粋がって&背伸びして)、「アオヤギを……」なんてオーダーしたら「今日はないんスよ〜」。「……じゃあ、コハダ」「それもないんスよ〜」「そんじゃあ……コバシラ」「もないんスよ〜」。で、唯一提供できる「トロ!イクラ!ウニ!」も出何処はアヤシイ、カビも生えてる──これじゃあねえ〜。寿司ギョーカイもスクラップ&ビルドが凄まじいようだが、ギョーカイ全体は右肩上がり基調。ひとえに『通』を唸らせるだけの複層的市場構造ができているからに他ならない。
■中馬達雄さんとは全く面識はない。しかしながら、氏のような方こそ、『エキスパート』と呼ぶにふさわしいと心底思っている。高い『オリジナリティ』とそれを支えるキャリアとノウハウ&スキル。もひとつ、確たる『哲学』。「野にあって交わらず」。『達人』てえのは孤高であるべきなんだよな。『連帯保証人』に出会えた悦びにウチ震える我がいる(──は、ちょっと大仰かな?)
by s_masuzawa
| 2006-05-21 20:10
| ◆ふらいふぃっしんぐゴッコ